うたごえ新聞掲載記事・2004年

北九州関係の掲載記事を転記します。
 (うたごえ新聞社了解済)

2004年9月27日号
随想 うたごえ時間・人災の対極にある憲法九条
綾正博

 今年は,台風の当たり年になった。 強い大型台風が,ご丁寧に2度も続いて,九州を通っていった。 猛烈な雨を風が各地に大きな被害をもたらした。 人身だけでなく,果樹や米など農作物も打撃を受けたと聞いた。 幸い,わが地域では,倒木や,停電,交通マヒ程度で済んだ。 九州のうたごえ祭典・宮崎と日本のうたごえ祭典に向けて予定していた九州合同練習は16号で中止に追い込まれ,18号でもまた,行事がつぶされたが,まず,良しとしなければなるまい。
 こうした自然災害には諦めや,多少は寛容になることができる。 しかし,人間によって引き起こされる惨事は見逃すことができない。 先日のロシア南部,北オセチアの学校での目を覆う惨事を持ち出すまでもなく,どれほどの命を奪い去っても,武力では何も生まれないことは疑いようが無い。 3年前の9・11同時テロは3千人近い犠牲者を出した。 アメリカはアフガニスタンを襲い,偽ってイラクに侵攻し,空爆と戦闘を続けている。 イラク人の死者だけでも,9・11の犠牲者の約5倍,1万4千人に近いという。 どんな理由をつけても正当化できなくなり,世界中から孤立しつつある。
 そのアメリカの戦争政策の対極にあるのが,戦争を放棄した日本国憲法第9条だろう。 その先駆性は,今,世界に希望の光を放っている。 憲法9条があるのに,世界有数の軍事力をもち,外国の軍事基地が街のど真ん中に居座り,住民を日々脅かす不思議な国,日本。 この相容れない関係をどちらでカタをつけるか,憲法を合わせるか,憲法に合わせるか,そのせめぎあいの真っ只中にある。 沖縄では米軍ヘリ墜落事故に抗議し,3万人が結集した。 私たちも,憲法9条を高らかに歌おう。 山ノ木さんの詩をかみ締めながら「アメイジング・グレイス」を歌おう。 我らの沖縄で。
(福岡県のうたごえ協議会議長)


2004年9月27日号
福岡合唱指揮講習会
笑いの渦にかこまれて

小森妙子

 「憲法九条」は北九州の新日鉄八幡うたう会,女声コーラスヴィオレッティ,青い空合唱団が合同で取り組んできた曲で,憲法草案に関わったベアテ・シロタ・ゴードンさんが記念講演された北九州母親大会の折りにも演奏し,好評を得た曲です。 守屋さんの解説と指導でとても歌いやすくなりました。 山田さんの体操と発声,中でも呼吸法はていねいでわかりやすく,私たちは基本にたちかえり,おなかと脇に手を当てて1234567! 1234567!の号令にあわせて息と体の使い方を学びました。
 守屋さんの,「アメイジング・・・」,歌劇「沖縄」,特に歌劇は2日目,段々だんだんと形ができ,暗譜で元気よく歌えるようになりました。 指揮講習は私も含め9人が受けましたが,守屋さんの一言一言に会場は笑いの渦に包まれたり,頷いたり。 私も知らない間についていた癖を指摘され,アドバイスを受けて本当に感謝の講習会でした。

恋せるオバン!?

渡辺聿子

 齢60になろうかという時に一念発起。 入団2年目の新米です。 遅きに失した『うたごえ』との出会いに,「命みじかし恋せよ 乙女」ならぬ「恋せよ オバン」の心境。 そんな折,今回の合唱・指揮講習会に参加しました。 延べ13時間。 おまけに守屋先生はコワいという噂。 どうしようかと迷いましたが結論は,「参加して良かった! 楽しかった!」
 発声指導の山田先生は,「体は楽器」を具体的に教えて下さいました。 守屋先生は威厳,毒舌もあったかくユーモアがあって,一番前で受けた私はゲラゲラ笑ってばかりでした。 合唱における「反射神経,集中力」の大事さを指揮の中で伝えて下さいました。 次第に全員の声がまとまっていくプロセス・・・。 「人の声,他のパートの響きを聴きながら歌う集中力」で,自分を確認しながら共生を感じとる喜び,新鮮な感動でした。
 こうして私は,ますます合唱団への恋心を深め,うたごえ活動にはまっていく自分を予感しています。


2004年8月16日号
2004 平和行進 うたごえリレー 点字署名1万筆以上も
山本猛雄
 北九州は7月17日〜21日までの行進でした。 私たち北九州のうたごえは,7月18日の八幡東区と19日のJR戸畑駅前での集会,署名,宣伝行動に参加しました。
 18日は日曜日ということもあり,レインボープラザ前広場でアコーディオン伴奏とハンドマイクを使い「原爆を許すまじ」,「青い空は」,「ヒロシマの有る国で」,「青い地球を」,「折り鶴」などを6人で歌い,「憲法9条を守り世界から戦争をなくしましょう」と呼びかけました。
 八幡東区の集会には150人以上集まり,八幡東区長代理が歓迎と激励のメッセージを述べました。 視覚障害者の7名は核兵器廃絶の点字署名1万筆以上を国連に届けたとの報告がありました。
 集会では参加者も一緒に歌い,「うたごえはいいね」「元気が出るよ」などの声がありました。
(北九州うたごえ連絡会)


2004年7月5日号
おおかわうたう会,北九州創作会議 ほたる観賞会で合唱
小林千里

 5年前,北九州保健生協の大里おおかわ診療所が門司に建設され,その4カ月後に私たち,おおかわうたう会が発足しました。
 診療所の裏に川があり(小さいが名は大川),ここに螢を呼び戻そうと「大川の清流自然環境を考える会」が作られ,川を清掃し螢が戻ってきたといわれています。 6月初めの「ほたる観賞会」が11年目,近年では2500人ぐらいが集まります。
 おおかわうたう会にも声がかかり,今年は(6/6)4回目の出演でした。 北九州創作会議の岩本東洋さん作詞,嶋井まりさん作曲の「蛍のうた」を歌うことにし,嶋井さんと創作合唱団7人も応援に駆けつけて下さり,20人近くで熱唱。 アコーデオン伴奏は新日鉄八幡うたう会の岡崎健さんで,最後は,唱歌の「蛍」など蛍3曲と「故郷」を会場のみなさんと一緒に歌いました。
(おおかわうたう会)


2004年6月21日号
随想・うたごえ時間
歯ぎしりする思い
綾正博

 今朝早く,車で走っていた。 道端に座り,青白い顔をして胸を押さえた80歳ほどの女性から,呼び止められた。 救急車を呼んで欲しいと言う。 一人暮らしで家の電話は切られているそうだ。 携帯電話を持っていないことに気づいた私は,慌てて公衆電話を探した。 近くに何箇所かあったはずだが全て消えている。 近所に住む70歳を過ぎたと思われる男性に事情を話し,電話を借りた。 通りすがりのこと,見た様子を話して救急隊に納得してもらった。
 数分後,救急車に乗せられる彼女を見て,そこを離れたが,声を掛けられてから15分は経っていた。 気持ちがすっきりとしない。 年老いた一人暮らし,撤去される公衆電話。 命の綱さえ次々と切られているような気がして寒々とする。
 前日(6/6)は宮崎県母親大会があった。 九州のうたごえ祭典の初開催に向けて奮闘している宮崎のうたごえに連帯して集まった長崎,大分,鹿児島と地元宮崎のうたごえ合同60数名で合唱構成「平和の旅へ」から4曲を演奏した。 わずかな練習時間だったが,作曲者園田鉄美さんの指揮で熱い演奏ができた。 以前,歌っていたと言う女性から「大合唱はいいですね。 祭典が楽しみです」と声を掛けられた。
 その後は宮崎とおきなわ祭典に向けて,2時間程の合同練習をしたが,園田さんと大分の古野千鶴子さんの指導のもと笑いも飛びかい,楽しい出発になった。 帰る途中に宮崎の平川さんから「演奏を聞いた人から,歌いたいと数名の申し込みがあった」と嬉しい電話があった。
 うたごえの仲間との交流はいつも元気を与えてくれるのだが,今朝のような出来事に出会うと,また,歯ぎしりする思いに駆られるのである。
(福岡県のうたごえ協議会議長)


2004年5月24日号
「あたらしい憲法の話」熱演・・・北九州
五十里智香子

 今年で3回目となる北九州憲法集会で,北九州うたごえ連絡会のメンバーを中心に約60人からなる合唱団で「憲法第9条〜あたらしい憲法の話」等を演奏しました。
 ♪これを戦争の放棄といいます。しかしみなさんは決して心細く思うことはありません。 日本は正しいことを他の国よりさきにおこなったのです。 世の中に正しいことくらい強いものはありません。♪
 戦後,胸をはってそう教えられた「日本国憲法」の輝きを,けっして失うことがあってはならない。 歌い手と会場が一緒に心に誓った演奏となりました。 フィナーレでは,北九州憲法集会では恒例となった「今この時代に」を,実行委員会メンバーも一緒に熱唱しました。
 この2カ月間,青い空合唱団,新日鉄八幡うたう会,女声合唱団ビオレッティの3つの合唱団は,各団の練習日をお互いに開放して,このための練習にあて,多いときには週3回のパート,合同練習に取り組みました。 そうしたつながりがこれから更に広がって,「北九州合同」として,このうたをどんどん歌い広めていく契機になればと願っています。
(女声合唱団ビオレッティ)


2004年5月3日号
新日鉄八幡 さくらまつりの商店街で
山田 敏夫

 新日鉄八幡うたう会は,定期的に八幡東区の祇園町商店街が毎月7日に定期的に行っている「七日市」で,年に3〜4回,演奏とうたう会を行っており,商店街の方や買い物客にもよろこばれています。
 さて,祇園町商店街の横の道路は桜並木が続き,春は花見でにぎわっています。 そこで,商店街も「さくらまつり」として一大イベントを行っています。 今年の「さくらまつり」のひとつとして4月4日,新日鉄八幡うたう会が出演しました。
 演奏曲は「みんな元気か」「花(滝廉太郎)」「刈干切唄(無伴奏)」「金比羅船々」「坊がつる賛歌」「橋を作ったのはこの俺だ」「バイカル湖のほとり」「サンライズ・サンセット」を演奏しました。
 演奏の途中のみんなうたう会では「青い山脈」「新雪」などのリクエストもありました。
 指揮とアコーデオンは岡崎健さん,ピアノは福岡市在住のピアニストの中村欣子さん,ギターは私山田でした。
(北九州うたごえ連絡会 山田敏夫)


2004年4月26日号
北九州うたごえ創作会議 7回目の発表会
堤 龍輔
 3月14日に第7回発表会を開催しました。 平和と環境の歌,自分たちの歌,住んで暮らしている地域の歌,を創り続けて12年。 作詞,作曲する人も増えて,10月の九州うたごえ祭典の時に発刊している「創作曲集」も今年第10集の特集号を計画中です。 今回は,嶋井まり,あおい志摩,吉田素子の三氏が作曲した11曲。 また,地域のうた仲間たちの友情出演。 新曲紹介では1年間に作られた約30曲の中から6曲を発表しました。 「毎回の新曲発表を楽しみに来ています「女性3人のそれぞれ持ち味があり,新鮮で心にひびいてきた」などの感想が寄せられていました。
(北九州うたごえ創作会議)


2004年3月22日号
街角から

中国人留学生 和平への賛歌
加来 浩佶

 北九州YMCA日本語学校で学ぶ中国人留学生が去年秋,わが北九州青い空合唱団の演奏会で混声合唱組曲「悪魔の飽食」を聴き,その感想を同校の弁論大会で発表しました。 その原稿を紹介(文中の校長先生は青い空合唱団の団員です)。

 私は陳維と申します。 去年の10月に中国から来て,日本語を勉強しています。 先日,校長先生から演奏会のチケットをいただき聴きにいきました。 その時の気持ちを思い出し「和平」について述べます。
 その演奏会で日本人は戦争を忘れないために歌を歌いました。 それを聴いて私が,胸にあふれる熱情で,思い出したのは,二年前に故郷のハルビンの資料館で参観した731部隊の悲惨な事実でした。 先の戦争では2000万人をこえるアジアの人々が,日本軍国主義によって殺されました。 日本軍の731部隊がどんなにひどいことをしたか,私がそこで見た事実を日本人も見つめて,これを繰り返さないために,もう絶対に戦争してはならないと,大きな舞台で平和共存を歌いました。 永遠の不戦と日中友好を誓って歌いました。
 実際,私は中日戦争にとても怒りを持っていました。 しかし,あの日の演奏を聞いてから,自分の思想を見つめ直しました。 最近,留学生による犯罪が報道され,私はそれをとても悲しかったです。 (略) こういう事件は日中友好の発展にはよくないことだと思います。 私はどんな国にもわるい人もいますが,よい人もいると思っています。
 もちろん平和な時代こそ戦争を忘れてはなりません。 日本に住んでいる私たちは,中国人として日本人に心配させないように法律を守って生活しなければなりません。 歴史を忘れずに,そして世界の平和を守るために,お互いに理解しあおうではありませんか。
(福岡)


2004年3月15日号
随想 うたごえ時間

忙しい春
綾 正博

 1月下旬,北九州地域には珍しく積雪があり,三日間も寒波が続いた。 北国の人たちには笑われそうだが,ここでは10センチの雪でも,交通はマヒしてしまう。
 この間,所用があって,雪が凍りついた早朝の町を歩いた。 凍った雪の道を,そろそろと歩く。 いつもなら,朝は車から動き始めるのだが,この期間は歩く人たちと出会うことになった。
「まだ雪ですかね」「歩いて大変ですね」「バスは動いていますか」など,次々と見知らぬ人たちとの会話がうまれる。 普段だと挨拶さえ交わさなかっただろうに,この時は,ごく自然なのである。 これはおなじ苦労をしている仲間意識なのかなと思ったのである。 阪神淡路大震災の街で,助け合った人々の思いを重ねたのは飛躍だろうか。 こんな事を体験すると,人間もまだ捨てたものじゃない,いざとなればきっと助け合うのではないか,などと安心するのである。
 春一番が吹いた。 とはいっても,まだ風はめっぽう冷たい。
 菜の花や,梅の開花などが聞かれる一方で,戦争状態のイラクと,「復興支援?」に派遣された自衛隊,高い失業率や社会保障の切り下げと,大もうけをする大企業の業績が同時進行で知らされる。 今,心を結んで,本物の春を迎えに行こう。 そんな話を盛り込みながら,昨日(2/29)近郊の行橋市で「心をつなぐ歌のつどい」を催した。
 男声合唱と会場全体での歌と,初めて知り合った地元の女声コーラスの演奏と,あったいつ間の2時間だったが,たくさんの方々に喜んで頂けたと思っている。 公民館にしては大きな会場に,あったかい飲み物とケーキが用意され,休憩時間にも会話がはずんだ。 準備に苦労をおかけした地元の方々に感謝している。
 今,電話があった。 うたごえサークル空白の小林市の青年団と結び,「ぞうれっしゃ」を歌いに出かけた檜和田衛君と沖縄の全国創作合宿に参加した安弘真理さんから,高校生の詩をもとに曲が出来たという,うれしい連絡である。 平和と暮らしに,今,「うたごえ」は忙しい。
(福岡のうたごえ協議会議長)