うたごえ新聞掲載記事・2003年

北九州関係の掲載記事を転記します。
 (うたごえ新聞社了解済)

2003年10月20日号 随想・うたごえ時間
今年,一味違う! 九州
綾正博


 9月に入って,ドップリと,うたごえに浸かってしまった。 13日に鹿児島の合唱団「風」のコンサートを楽しんだのを皮切りに,21日は長崎のうたごえ祭典,23日は,わが福岡県のうたごえ祭典,昨日,今日(10月4・5日)は九州のうたごえ祭典と,まさにうたごえ三昧である。 例年のことと言ってしまえばそれまでだが,これまでとは一味違う。
 鹿児島では,”私の好きな町コンサート”と題して「風」の演奏を軸に,うたごえで心を通わせた10ものサークルが出演し,バラエティにとんだ演奏で楽しませてくれた。 地域に眼を張り,うたごえをトコトン楽しんでいる。 「風」らしく,温かさと,逞しさに溢れたコンサートで,熱いものを積み込んで帰った350kmは,なんと近かったことか。
 そして,長崎のうたごえ祭典。 合唱発表会では,力強さ増す長崎のうたごえの質の高い演奏を聴き,長崎の被爆者・渡辺千恵子さんの没10年を記念して企画された音楽会では,多くの中学生と,佐賀と福岡からの参加を加えて,昨年の日本のうたごえ祭典in福岡に劣らぬ感動的な合唱と語りによる構成「平和の旅へ」の演奏を聴かせてくれた。 長崎に公演で訪れていた女優の日色ともゑさんもかけつけ大いに盛り上がった。
 福岡市での県祭典では近年最高の参加者のもと,合唱発表会に新たに5団体が出場した。 その1つ,通信労組福岡支部は,福岡市内で20数年ぶり?の労働者集団である。 審査結果発表で九州青年合唱団が日本のうたごえ祭典への推薦団体の1つとなり,歓声と,大きな拍手が贈られた。 うたごえの核になる青年合唱団として見事な成長と期待の大きさを示した。
 成功した大分祭典を受けて,宮崎のうたごえが04年の九州祭典に向けて本格的に動き始めた。 夢だった九州祭典の全県開催がとうとう実現することに胸を高鳴らせているのである。
(福岡県のうたごえ協議会議長)


2003年6月23日号
それぞれに工夫をこらし あっちこっちで うたう会

商店街の再生めざし
開放型「うたの広場」・北九州市
簾 照男


 珍奇なうたう会もあればあったものである。 アーケードの中,潰れた商店を改装してドア1つない丸見え開放型の食堂が出現した。
 「うちでもうたごえやってくれんね」の一言で始まった「うたの広場」。 リクエストの時間になると「湯島の白梅」が出たりする。 何故か年金生活者と思しき人々がたくさん集う温かいひとときである。 
 伴奏陣は「充実」している。 「」が付いたのは人数ばかり多いという意味である。 初心者大歓迎,弾けるだけ弾けばいいという気楽
な世界。 アコ3台,ギター2台,ベース1台。 さらに司会に受付にボーカルは親子3人でこなす。 不都合な音も時折聞こえてくるが,誰一人音を止めない。 とにかく楽しそうだ。 この厚かましさが,今後も伴奏者が増えそうな要因となっている。
 ここ北九州市。 日本のうたごえ祭典in福岡を成功させた地元である。 年金者組合を中核とした高齢者の舞台は歴史的な大きさで,会場と歌い交わした。 その組織の武器となった124曲収録の歌集「人生悔いなし仲間とともに」は労働歌あり,演歌あり,字も老眼用に大きい。
 祭典の感動の延長線上にこの歌の広場がある。 祭典参加者が中心となって支えているのは言うまでもない。 これ以上店を潰してなるものか,と意気消沈の男どもを尻目に,おかみさんが立ち上がった。 ボランティアが切り盛りする笑顔いっぱいの歓迎ぶりに,志を感じる。
 選挙ともなると,それぞれのお家の事情が見え見えだが,なんら協力共同の障害にならないのもいい。 地域の人々に信頼されて,学びつつ国民的な力のある運動を創造したい。 伴奏者も司会者も,歌う人の息づかい,想いを共有しながら胸ふるわせたい。 ここは小さいが,先駆者のような気がするのである。
(北九州青い空合唱団)


2003年5月26日号 北から南からホットライン
地域の仲間も出演,第6回北九州うたごえ創作会議・発表会
堤龍輔

 毎年3月開催の北九州うたごえ創作会議の第6回創作発表会を3月30日,八幡東区レインボープラザで行いました。(150名)
結成11年目,創作曲集も第8集まで作成。
 今回は日本の四季を歌い,環境と平和を歌い継ぐ井上忠昭作品集を中心に16曲。 地域のうたごえの仲間も自分たちの創作曲で友情出演。 常連の北九州青い空合唱団,新日鉄八幡うたう会や初参加の中間うたう会,大蔵うたう会有志など6団体が参加してくれました。
「少しずつ参加者も増え,演奏会もよくなってきている」,「毎年すばらしい曲がたくさん生まれているのに驚いた」,「私達の世代にとっては原風景を感じました。 次回はぜひ若者グループとの共演を期待したい」・・・,などの感想が寄せられました。
(北九州うたごえ創作会議事務局)


2003年4月7日号 随想・うたごえ時間
それでも戦争が始まった 今こそ歌を
綾正博


 アメリカはイラクへの戦争を始めた。 国連は認めていないのにである。 世界中で,戦争するなの声が日増しに高まっていた。 それが一番怖かったのだろう。 だから,急いだのかも知れない。 圧倒的な軍事力をもつ超大国が,査察を受け入れて丸裸になった国に,正当な理由も,根拠もなく攻撃し,人を殺す。 なんとも恐ろしいことである。
 マスコミの異常さも際立ってきた。 殺され,破壊される戦場の悲惨さを伝えることもなく,アメリカと日本の政府からの報道を繰り返し,ゲームさながらの解説が付けられる。 それが戦争の報道と言えるのだろうか。 執拗に繰り返し流されるアメリカ高官の言い分を聞いても,ただの一つも,なるほどと思えない。 なのに,これからもたくさんの人が傷つき,殺されるのである。
 しかし,民衆は騙されてばかりではない。 アメリカを含む世界の国々で戦争に反対する集会,デモが空前の規模で繰り広げられている。 日本でも全国各地で連日行われている。 例によって,せいぜい,アメリカからの報道の余りでしか知らされないけれども。
 だとすれば,圧倒的な人々の耳に目に,私たちが届けていかねばなるまい。 そんな思いできょう(3/29)もピースウォークに参加した。 うたごえは20数人だったが,30分前から歌い始めると,この日も人々が集まって,一緒に歌い,大きな輪になっていった。 小倉の街にプラカードが揺れ,うたごえが響いた。 人の波が,互いに見合いながらすれ違っていく。 行動が終わるまで1時間半を歌い続けた。
 うたごえが北九州で戦争反対の行動に参加するのはこれで3度目だが,その度にうたごえの威力を一層強く感じさせている。 しかし,戦争を止めさせる歌を,平和の歌を,だれもがうたえる歌を,もっともっと欲しいと歯ぎしりもしているのである。
 (福岡のうたごえ協議会議長)